▲湖の北東岸にせり出した尾根丘陵を下る小径: 石仏や石塔群に囲まれ、道の東脇に海口庵、西脇に公民館がある

  木崎湖北東岸の東海ノ口集落にも固有の祈りの場がいくつかあります。有名なのは海口庵という小さなお堂です。湖畔から北東岸の尾根高台にのぼる小径の脇にある石仏に囲まれた禅庵です。 この庵の本尊は観音菩薩で、いかにも千国街道沿いの村に似つかわしいものです。境内は、権現山から南西に張り出した尾根の突端にあって、南に木崎湖の湖面を見おろす丘陵に位置しています。


▲海口庵の境内は湖を見おろす高台にある

▲境内の南端からは木崎湖の湖面を展望できる


▲高台丘陵をのぼる小径の先に赤い屋根の小堂が見える

▲樹林に囲まれた海口庵

▲雨上がりの強い日差しを浴びて輝く屋根と陰影深い堂舎

▲お堂の方を向く石仏群: 百体観音像

▲観音像の列の背後には輝く湖面が広がる

▲茅葺屋根にトタンをかぶせた禅庵。向拝もある。

▲境内片隅に2つ神社の祠(蓋舎つき)がある

◆木崎湖を見下ろす丘の海口庵◆


境内東側からの眺め

  JR大糸線に沿って木崎湖東岸を国道148号が南北に通っています。大糸線の海ノ口駅から400メートルほど北に国道から北に向かって丘をのぼる小径が分かれていきます。今回は、この道をたどって、集落をめぐり、祈りの場を探すことにします。

  丘をのぼり始めると、樹林に囲まれた赤い屋根の小さなお堂が見えてきます。海口庵という禅庵です。道脇の段丘崖の前に説明板が立っています。それによると、海口庵は神龍山大澤寺に関係する堂宇のひとつで、仁科三十三蕃札所めぐりの第16蕃なのだとか。
  海口庵の境内には百体観音と呼ばれる石仏群がありますが、それは往時、千国街道沿いにあった観音像をここに集めたものだそうです。


海口庵と小径を隔てて庚申塔群が並ぶ

庚申塔群に隣接する公民館

  この辺りは、東の尾根に続く高台の南端で南に木崎湖の輝く湖面を望むところです。ここに祈りと禅修行の場を開くのも「むべなるかな」という景勝地です。
  海口庵の境内には石仏・石塔群のほかに神社の祠も祀られています。往時は、ここに近隣の村人が集まって賑わったことも容易に想像できます。
  禅庵と小径を挟んだ西側の広場には地区の公民館が置かれています。公民館の東隣には、大きな庚申塔が4基も並び立っています。このように大きな庚申塔や石仏群が残されていることから考えると、東海ノ口はかつては今よりずっと大きな集落だったのではないでしょうか。


石仏群は禅庵を見つめる姿勢で並んでいる

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