白馬村の塩の道歩き、今回は塩島集落の西にある森上から南西に向かって歩き、松川を越え、さらに平川を越えて飯森まであるきます。森上から松川河畔までは、国道433号に沿って進むことになります。
清冽な水が激しく流れる松川と背景の白馬連峰。こんな急な流れでも船で渡ったのか、往時には「渡し場」があったという。この松川の写真では、手前に河床にコンクリートで補強された土台のような人工的な構築物跡が見える。水流を分けての勢いを抑えるものなのか、橋脚の土台遺構なのか、それとも往時の渡し場遺構にかかわるものなのか。
◆今回、歩きの旅でめぐるコースの地図◆
▲街道沿いで唯一残されている茅葺(金属板を被せてある)古民家 ▲県道の風景: 森上駅方面を振り返る ▲安曇野の大棟造りを模した造りの住宅 ▲彼方の谷は野平:森上とは松川、姫川を挟んだ対岸の山間 ▲松川河畔の河岸段丘上にある藤森酒店 ▲この段丘の下に松川の渡し場があったそうだ ▲往時の渡し場付近の川の様子:背景は八方尾根スキー場(八方山) ▲松川の南岸の田園地帯: 往時の街道はこの農道のようだったかも ▲ソバ畑: 東の彼方には高戸山が雲に覆われている ▲平川八幡神社(右手)の前を通る塩の道 ▲街道脇の大鳥居: 奥に拝殿が見える ▲平川八幡の境内と拝殿。左端護国神社の社殿 ▲拝殿(左端)の奥の本殿(中央) |
◆森上集落の街並み◆塩の道は塩島新田宿から塩島村まで南東に進み、そこで鋭角に西に曲がって森上の集落を通って南西に向かうことになります。おそらくこの街道を拡幅することで県道433号が建設されたものと思われます(森上交差点まで)。
上の写真は、JR大糸線信濃森上駅の南を通っている県道433号(塩の道)が古民家の脇を往く場面です。このあたりが森上の街のほぼ中心部です。
◆松川河畔 渡河は松川の渡しで◆ 県道433号は森上交差点で国道148号に合流します。国道の反対側から勝川河畔の道が西に延びていますが、これは塩の道ではないでしょう。 松川を南に渡ると、そこから平川流域までが往時、平川村と呼ばれた区域だということです。その村の鎮守社が平川八幡宮神社で、塩の道はその脇を通り抜けていきます。
この辺りは、JR大糸線を挟んで大出と反対側に位置しています。街道は小さく曲がりくねりながら、国道148号や大糸線とだいたい平行に続いています。
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▲薬師の湯: ここには薬師堂と足湯温泉、石仏群などがある ▲温泉足湯 水路のような造りになっている 小さな薬師堂 |
◆薬師の湯、薬師堂と石仏群◆ 塩の道を平川八幡宮から南に500メートルほど進むと、道の東側に「足湯 薬師の湯」という小さな石碑が立っています。こじんまりした公園になっていて、小ぶりな薬師堂の傍らに足湯の水路があります。
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街道脇の古民家: 屋敷森のような防風林が敷地を囲んでいる |
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街道のいたるところに郷愁を誘う樹林帯がある 茅葺きを覆うトタン屋根が雨に濡れて光っている |
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塩の道は田園に囲まれた「みそらの」の集落を次々に通り抜けていく ▲空峠庚申塚は五差路の辻にある ▲桜の老樹の根方に密集する石仏群 ▲数えきれないほどの石仏、石塔、石碑が四辺形に並んでいる ▲木陰にはほどよく短い草と苔が密生している |
◆空峠庚申塚石仏群◆ ところで、この辺りから南ないし南西の地区には深空野(みそらの)という風雅な名前がつけられています。たしかに山に囲まれた高原(標高750〜800メートル)で、空が高く見えるところです。松沢川の峡谷から南の大町市仁科湖群に向かって緩やかにのぼっている道筋です。 庚申講は中国伝来の民衆信仰の集まりで、もともとは人の身中に住む虫がその人の毎日の行いをすべてわきまえていて、庚申の日に対外に出て帝釈天にその人の悪行や罪業を密告するのを防ぐための祈り、あるいは宥めの場だったそうです。 |
▲深空神社の参道入り口 神明宮風の大鳥居 ▲杉木立の奥に神楽殿(右)と拝殿 ▲神楽殿は境内の北端にある ▲山麓の広大な森のなかに別荘やペンションが点在する ▲軽井沢ほど知名度はないが、親しみやすいリゾート地だ ▲平川を渡りって森を抜けると水田地帯。背後には白馬五竜=47スキー場 |
◆深空神明宮探訪◆ 石仏群から90メートルほど南で塩の道は県道322号に合流します。すると、県道の西脇に神社が見えます。深空神社です。
取材中に雨が降り出しました。 ◆白馬村山麓別荘地◆ 深空神社の背後には唐松岳と遠見山の巨大な尾根から続く広大な山林が迫っています。2つの尾根に挟まれた谷を平川が流れ、広大なな扇状地を形成しています。この扇状地を、川を挟むように、扇の要から半径2キロメートル、中心角60°ほどの扇形状に森が覆っています。
県道322号は平川を渡ると、姫川河畔に向かって大きく東に曲がっていきます。そこで森を抜けるのですが、私は県道から逸れて南に向かう農道に入りました。おそらくこれが、かつての塩の道の遺構です。道の行く手に飯森神社の鎮守の杜と飯森の集落が見えてきました。 |
◆飯森集落へ◆ 別荘地の森を出ると、視界が一気に開けます。広大な水田地帯が広がり、その奥(西側)に迫るのは遠見山の尾根群で、その中腹に五竜スキー場、47スキー場があります。 |