古くからの歴史を持つ和田郷には、中山道宿駅としての街並みのほかに数多くの史跡や名所があります。わたしはこれまで10回以上ここの取材に訪れましたが、そのつど、何か新た発見や感動を経験してきました。
そのなかでも強い印象を受けたのは、長和町立和田小学校と和田中学校の校舎です。
木材をふんだんに使ったユニークな設計の校舎群は、建設の時代はかなり違いますが、モダンさとレトロさをともに兼ね備えていて、郷愁を誘う美しさがあります。私としては、それらもまた、宿駅の建物や文化財と同様に長く保全していってほしいものだと願っています。
▲上は和田中学校の校舎:昭和モダン風の建築で、少なくとも外壁と内装には木材が使用されているように見える。
下は和田小学校の校舎:外から見える様子から図書室ではないだろうか。ポストモダン風の木造建築で、デザインが素晴らしい。
▲玄関と塔が中軸に位置して天を衝き、左右のウィング(翼棟)が躍動的で、子どもたちの飛躍をイメイジさせる。 ▲校庭で元気に動き回る児童たち(たぶん体育の授業) 背景は和田中学校校舎。小中学校が隣接しているのがいい!。 ▲北側の翌棟校舎 ▲ユニークな校舎の前にはカエデ(モミジ)の古木がある。 ▲小学校の校舎と中学校の校舎は渡り廊下で連結している |
人生も齢60を過ぎると、人でも物でも、身近な存在と思っていたものが次々に消え去っていき、脳裏の記憶にとどまるだけとなります。しかも、存在が消えたものはその記憶が日々どんどん希薄化していってしまいます。 ■和田小学校■ 和田小学校は、この20~30年間、学校建築設計で力を増している傾向を取り入れたもののように見えます。木材を多用して、自然環境を子どもたちに体感させ、同時に束縛を小さくして自由や「ゆとり」を象徴するというスタイルです。 |
和田小学校は校舎もステキなのですが、風景にも恵まれています。 |
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校庭への石段、校庭の奥に校舎、背景に山岳 ▲晩秋の山を背負って ▲初夏の校舎 |
■和田中学校■ 和田中学校の校門は校庭の東端にあります。不思議な位置ですが、現在の校舎に建て替える前の校舎の配置によるものかもしれません。石段を上って校庭の端に立つと、昭和モダン風の木造校舎の全貌を見ることができます。しかも、校門の前には和田神社の大鳥居があるのです。何やらパウワーポイントのような異空間を感じさせます。 |
▲石垣壇上に立つ昭和モダン風校舎 |
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▲本校舎の裏(西側)にある古い木造の建物群 ▲シックな寄棟の瓦屋根は洒落ている。外壁には新しい丸い時計。 ▲本校舎と渡り廊下で結ばれているようだ |