ランダム・ギャラリー ― 奥信濃方面
 

雪深い山の美しさを追う


  冬の厳しさや豪雪では、奥信濃地方も名をなしている
  降雪量の多い年は、里でも2メートルを超す積雪量となる。山岳では5メートルをゆうに超える。
  だが、深い雪はウィンタースポーツのための資源をもたらし、はっとするほど美しい風景を生み出す。
  もちろん、雪深い冬山は危険と隣り合わせだ。山や森や気象についての知識や経験、さらには注意深さを要求する。
  写真を見てお気づきになるだろうが、背景となる空に少しでも青空があると、雪は青みを帯びることになる。空一面曇っていると、この青みは弱くなるか失われる。
  ここで収録するのは、私がスキーの合間に取り貯めてきた冬山の光景だ。

森のなかのゲレンデ

  野沢温泉スキー場、山頂部やまびDこコースで(2010年12月末撮影)。
  志賀高原まで続く広大なブナとダケカンバの原生林のなかにコースがある。ほんのつかのまの快晴。

  山頂部から雪雲が降りてくると、まもなく吹雪になる。
  吹雪が始まると、わずか数分でシュプールは跡形もなくなってしまう。

 

  すぐに深い霧に取り巻かれる。霧は凍った水滴、あるいは雪の小さな断片の集合。
  雪や氷の粒・塊はしだいに大きくなって、吹雪の雲となる。山頂部は厚い雲に覆われる。

 

  晴れれば、高原の強い陽射しが射し込み、銀白の雪面で反射する。空は深い黒味を帯びるほどに晴れ渡る(2009年2月撮影)。

  雪化粧したブナの枝。寒冷地に育つ樹木だが、すごく細かく枝分かれしている。細い末梢は、どんな寒さにも耐えることができる(2011年年末に撮影)。

  山頂付近。
  標高1600メートル近くのこの一帯では、厳しい冬に耐えて育つ樹木は、ブナ、ダケカンバくらい。

雄大な景観、そして森

  スカイラインコースから西を展望すると、雄大な妙高連峰。その奥(左)には高妻山。
  連なる山並みの手前に見えるのは、飯山市。谷間の中央を千曲川が悠然と流れる。

  妙高から目を右に転ずると、鉛色を帯びた蒼い弧(丸みを帯びた水平線)が広がる。
  スキーヤー、ボーダーの頭越しに見えるのは、日本海。向かいの山並みの麓は新潟県。

 

  晴れた日には、山頂部から数キロメートル、日本海を見ながら滑降することになる。
  海面の雲が晴れると、海のなかに小さな雪山が見えることがある。それが佐渡島だ!(2009年2月撮影)。

  視界をさらに右に向けると、海は終わり、ふたたび山岳風景となる。三国山脈や越後山脈が見渡せる。
  峻嶺の右手前に広がるなだらかな斜面は苗場山。麓には秋山郷がある。

  コースの端に止まって森を眺める。ブナとダケカンバの原生林が広がる。

  積雪は4メートル以上で、雪原の下には、樹齢40年未満で高さ4メートル以下のブナの「幼木」が広がっている。林道伝いに夏にここに来ると、そんなブナの若木が密生していて(密林!)、深い葉緑におおわれ、地面は見えない。

  春に積雪量が減ってくると、雪の重みに耐えてたわんでいた木々が鞭のようにしないながら、立ち上がってくる。見事な光景だ。

  雪深い高山では、ブナの成長は遅い。目の前のブナは、樹齢100年をゆうに超えていると思われる。

  ブナやダケカンバは急斜面にどっしり根を張り、幹を伸ばし、枝を広げている。ここでは、4メートル以上も積もった雪が、ブナの幹や根を守る保温効果をおよぼしている。
  豪雪は生き物を圧迫するだけではなく、豊かな恵みを与える。

  春の気配が兆してきた雪原に残る獣の足跡。野ウサギがゆっくりと歩いた跡だろう。
  ウサギが飛び跳ねると、前足は2本そろえて1つの凹みになり、後ろ足2本は広がって離れた2つの凹みになる。
  その向こうには野鳥の足跡が残っている。

 
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