山岳や高原に囲まれた長野県では、冬の寒さはことのほか厳しい。北部の山岳には、3メートル以上の雪が積もる。零下10℃はごく普通で、珍しいことではない。
だが厳冬は、他方で息を呑むほど美しい風景をつくり出してくれる。その風景は、心に深く刻みつけられる。
そういう風景を撮影するのは、意外と難しい。というのも、寒さでデジタルカメラのバッテリーがダウンしてしまうこともあるし、レンズが凍ったり雲ったりしてしまうこともしばしばだからだ。
厳寒のなかでカメラを出し手袋を脱ぐためには、ある種の覚悟がいる場合もある。もちろん、うららかな春の野で残雪の山岳を遠望する楽しいときもある。
ここでは、この数年間に冬から春の野山で撮影した雪山の光景を収録する。
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