では、ここで「宿題」を出しておきます。挑戦したい人だけに。
次のいくつかの語を使って、天動説から地動説への「宇宙観の転換」という話題について、意味の通った文脈を成り立たせる文章をつくりましょう。これが、これからつくる文章の目的(主題)です。こららは順不同のキイワード群です。
「地球」 「太陽」 「夜の星たち」 「星座」 「時間の測定」 「北極星」 「星座は反時計回りに回る」 「地軸」 「地球は西から東に自転する」
解答例は、次回に掲載します。
これは、日常のできごとを基礎的な科学の知識を使って考える、思考力、論理力を身につけるための訓練の1つです。訓練の手順としては次のようになります。
@キーワードをもとに、辞典やネット検索で調べて、それぞれ単独にまたは関連させて、いくつかの「小見出し項目」をつくる。
A小見出しの配列の順序を検討して、文章の構成を考える(計画)。
B小見出しごとに文章の段落を作成する。
C小見出し計画のとおりに各文章を並べて文章を組み立てる。
D全体の論理の流れの整合性を検討して推敲する。
では、ここで「宿題」を出しておきます。挑戦したい人だけに。
宇宙観の転換といえば、天動説から地動説への転換ということになります。天動説とは、神がつくった地球は不動のものであるはずで、宇宙の森羅万象の変転の中心にあるべきだ、という考えです。つまり、地球を中心に天界=宇宙の星々が回転しているという世界観です。
これに対して地動説とは、地球は宇宙のなかのひとつの天体にすぎないのであって、宇宙の中心を回転している、という考えです。さしあたり、その中心とは太陽ということになりましたが、やがて、太陽も銀河系の中心のまわりを回転していて、その銀河系も大宇宙の中心をめぐって回転していることが観測されました。
回転ということには時間というものが関連してきます。一定の時間をかけて、つまり周期的に回転運動をおこなうということです。地上では、まず太陽の動きをもとにして日中の時間の動きが計測され、次いで夜空の動きをもとにして夜の時間の動きが計測されるようになりました。やがて、昼夜ともにした時間の動きが観測・計測されるようになります。
すると、キイワードから小見出しとして次の項目をつくります。
・地球から見た太陽の日周運動・・・地球は地軸を中心に自転しているため、地上からは太陽は東から西へと円周運動するように見える。
・夜空の星の動きと星座の動き・・・夜空の星と星座も規則正しい回転運動をしていて、1日で一回りする。
・夜空の星座の回転の中心に北極星がある・・・夜空のすべての星と星座の回転運動のほぼ中心に北極星があるように見える。
・星座は1年で天を回る年周運動をしている・・・星座は毎日、少しずつ位置をずらしていき、365日後に同じ位置に回ってくる。1年は365日とされ、閏年によって、誤差を修正する暦法が生まれる。
・北極星に中心に星座は反時計回りに動く・・・地上から天を見上げると、星座は北極星を中心にして回転している。北極星は地球の北極の真上にあるという考え。幾何学では、1回転は360°と見る方法が定式化され、60進数、30進数などが時間計測の尺度となる。
・地動説の支配・・・キリスト教ヨーロッパでは神学にしたがって、地球が宇宙の中心にあって、天界の星がその周りを回転していると見る考えが支配的になった。
・惑星と呼ばれる天体の不規則な運動・・・ところが、観測の発達とともに、火星や金星、木星、土星などは、ときどき回転運動から逸脱する動きを取ることが知られるようになる。これは地動説の限界をつきつけた。
・地動説の考案・・・この変則的な動きを説明するために、地球が宇宙の中心の周りを回転するという仮説が提起された。
文章全体の目的=目標を立てたら、次に、論述のために、どういう項目を組み立てて自分の考えを説明していくかを計画するわけです。では、自分らしいスパイスやエスプリを利かせながら、文章全体を組み立ててみましょう。