目 次 (カリキュラム)
11 コブ斜面でのパラレルターンの基礎 |
コブ斜面での屈伸滑走 |
コブ斜面での屈伸滑走コブ雪面では、膝を屈伸させて上下の位置変化や衝撃を吸収しなければなりません。左図は、水平な雪面にできたコブを乗り越えるときの姿勢の変化を示しています。コブの凸部では膝を思い切り曲げ、腰も曲げるのですが、凹部では膝の屈曲を緩め、腰も上げることになります。 ここで重要なことは、頭の位置が変わらないようにしているということです。これは、同じ視座で斜面の状況を視認し続けるために不可欠なことです。 |
屈伸運動で頭の位置を保つ
コブ斜面では、身体の屈伸運動で上下の変化や衝撃を吸収して、頭の位置をできるだけ同じ直線上に保つ必要があります。 コブ斜面でのロングまたはミドルターン |
コブの溝を跳び越すテクニック
スキーでは雪面コンタクト(雪面にスキーが接地している上体)を極力保つようにしなかればなりません。 |
コブ斜面でのパラレルターンコブ斜面でのパラレルのミドルないしロングターンを練習しましょう。まず、コブ斜面全体を見おろして、どういうコース取りをするかイメイジします。 ミドルまたはロングターンは、いくつものコブを横切るので、前述の屈伸運動で衝撃や上下動を吸収します。そして、ターンはコブの頂点の向こう側で中腹の下側付近で膝の回し込みをしながら、横滑りで(溝に斜めに滑り落ちていくように)速度を抑制しながらおこないます。できれば、ひとつのコブでターン(の主要部分)をなしとげてしまうのが望ましいです。 ターンの主要部分が2つ以上のコブに跨ると、姿勢の制御が難しくなります。 したがって、できれば直径が大きくて高低差があまり大きくないコブでターンをするのが望ましいのです。 場合によっては、コブとコブの間の溝を跳び越さなければならないこともあります。そのときには、膝の屈曲を利用して、できるだけ跳び上がりの高さを押さえながら、次のコブの頂部をやや過ぎた辺りに、これまた膝の屈曲で衝撃を吸収しながら着地します。コブ頂部の手前だと、そこで制動がかかり、強い衝撃をまともに食らってしまいます。 着地点がコブの下り面だと、衝撃のエネルギーを下に滑る力に変換できるので、衝撃はかなり弱まります。そして、このとき上体は前傾しすぎないようにしてください。前傾しすぎると、つんのめって危険です。 |
12 コブ斜面でのウェーデルン |
コブ斜面でのウェーデルンはコブの間の溝を通るコブとコブとの間の溝を膝の回し込みでターンしていく。 |
ストックはコブの頂部に突くダブルストックで姿勢を回復する |
コブ斜面での小回りターンここでは斜度20°以上の急斜面のコブ斜面で、1秒間に2~3回ターンするようなウェーデルンをめざします。モーグルの真似をしてコブ斜面で小回りターンをしているスキーヤーのなかに、両ストックの間隔を狭くしている人たちをよく見かけますが、それはまったくの誤りです。コブの大きさにもよりますが、両ストックの間隔は自分の肩幅の2倍くらいにします。 その理由は、ターンのさいのストックの突き出し位置は回り込もうとするコブの頂点辺りとするから――コブの頂点のあいだの横幅は80センチメートル以上ある場合が多い――で、さらにストックを広い間隔で持った方が、ヤジロベエのように安定性を保てるからです。間隔が狭いと安定性が低下するうえに滑りが窮屈になってしまいます。 コブ斜面のウェーデルンでは、コブとコブの間の溝を滑り降りていきます。その分、加速します。 加速を抑える技術として、コブの中腹の下の部分から溝の底まで少し横滑りさせるという方法があります。 ダブルストックで姿勢安定を回復するコブ斜面は変化に富んでいて、姿勢が定まりません。とくに後傾気味になったり、前傾が強すぎるようになったりすることも頻繁です。素早い小回りターンの繰り返しのなかでは、姿勢を回復させて安定させるのは至難の業です。 そのためのテクニックがダブルストック(ダブルポール)です。つまり、ターンの切換え操作のさいに両ストックを同じように手前に突き出すのです。 後傾気味の姿勢を前に戻すときは、両ストックとともに上体を思い切って前に押し出します。このとき、膝は伸ばさないように。 前傾しすぎた場合には、ターン内側のストックを頂点よりも少し手前に突くようにし、同じ位置に反対側のストックを並行して突き出しようにすると、上体を起こすことができます。ただし、大きな衝撃を受けることになります。私は親指付け根の腱鞘炎になりそうになったことがあります。手袋は上等なものを用意してください。 |
13 新雪斜面の滑り方 |
新雪斜面での滑り方 両スキーを揃えて1本折板のように操作し、先端を浮かせることがポイント。 |
軽くて柔らかい新雪面で浮かせる信州での新雪状態を想定して説明します。新雪斜面での滑り方の難しさの最大の要因は、雪が軽くて柔らかくて、沈みやすいことです。 そこで、どのようにすれば、新雪斜面でスキーの身体を雪面の表層付近まで浮かせるか、沈まないようにするか、ということが最大のポイントになります。 対抗策は、とにかく接地底面積をできる限り大きく保つということしかありません。そう考えるたとき、スノーボーダーがたやすく新雪面に対応している姿が頭に浮かびます。では、なぜスノーボードは新雪面で捜査が容易なのでしょうか。 理由は、幅が広い1本のボードだからです。つまり、解決策は、両スキーをそろえて1本の板のようにするということです。 できるだけ完全なパラレル姿勢を保ち、両スキーを同時に操作して1本の板のように機能させるということになります。 ということは、同時操作のベンディングターンを習得するしかないというわけです。 新雪面では、膝と腰を前方下側に落としていきながら、上体をやや後傾にして、スキーの先端が浮き上がるようにすることで、スキーが絶えず上に向いて雪面の上に浮き続けるようにします。 こういう状態では、あまり素早いターンはエッジを雪面に深く押し込んでしまうので小刻みのターンは避けて、やや大きい弧のウェーデルンやミドルターンをします。 このとき、上体を後傾させすぎると、スキーの先端部の浮き具合が大きくなるにもかかわらず、スキー中央部からテイルまでの沈み込みが深くなってしまいます。すると、かなり上下動の大きな滑走になります。 極端な場合には、スキーは雪面から跳び上がるほどになります。それはそれで面白いのですが、腰や腹筋、背筋への負担が大きくなり、疲れます。上下変化を加減して、上体の後傾度合いを調節してください。 |