中禅寺と塩野神社東にあるのが曹洞宗の寺院、龍光院です。
塩野神社から山裾を東に歩くと塩野池に行き着きます。道を挟んで池の真向かいには塩田の館。さらに少し歩くと龍光院に到着。
山門の前に塩田巡回バスの停留所と駐車場があります。
そこからアスファルトの坂道を100メートルほど登ると、美しく威風を払う建物群があります。
この龍光院も前山寺と並んで、山麓を登る参道がじつに素晴らしく深い情趣があります。枝垂れ桜や山桜、ケヤキや杉の老樹巨木がみごとです。
どうせなら、山門をくぐって、細い参道を登ってみてください。
さて門内には、羅漢堂、観音堂、本堂、禅道場、鐘楼などが立ち並んでいます。
◆北条家の菩提寺◆
龍光院は、鎌倉時代に塩田北条氏の菩提寺として開基されたということです。
塩田平は、鎌倉幕府の実権が北条一門に移ってからも、引き続き戦略的に重視され、信濃国守護職(塩田が拠点)を一門で固め続けました。
そんな由縁があってか、鎌倉幕府の重鎮の地位を退いた北条義政は塩田に退隠し、城砦を営みました。
義政が没すると、子息の国時が亡父の菩提を弔うために龍光院(当初は仙乗寺)を建立したといいます。
◆環境に溶け込む境内の世界観◆
東向きの四脚門をくぐると、正面に本堂があります。その右に庫裏、その手前に鐘楼、門のすぐ右脇には八角形の羅漢堂。門の左側には観音堂、本堂の左手前には禅道場があります。いずれも重厚で美しい建物です。
庫裏では山菜料理が楽しめるということです。
山腹にあるこの寺院では、周囲の地形・傾斜を利用して山水庭園が造られています。庭園は端正に手入れされています。
ことに一段高いところにある観音堂の脇から流れ落ちる水がつくる小さな池と周りの植栽はみごとです。
山腹の森林に境目なしに溶け込んだ山水庭園の風景は、やはりミクロコスモス、つまり凝縮された世界観(自然観)を表したものでしょうか。
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