前山寺の脇から遊歩道に入る
あじさい小道は山麓をめぐる遊歩道ですから、山麓の名刹・古刹をめぐりながら散策しましょう。
梅雨の時季、塩田平を取り巻く田園や山野は、真夏に向けて緑を一段と深めています。
独鈷山に続く丘にある信濃デッサン館と前山寺山門の前。ここが散策の出発点です。
ここからは、塩田平から上田市街に続く盆地を見おろすことができます。雄大な風景です。右上の塩田平の展望写真では、右手前の尾根の向こうに上田市街や上田城があります。
では軽く一揖して山門をくぐり、並木に囲まれた参道を上りましょう。
参道の両側を囲む桜やケヤキ、松などは、葉がびっしり茂った枝を伸ばして、参道に上に覆いかぶさって涼しい日陰をつくっています。
参道脇の並木にも世代交代の波があって、老朽した松や桜が伐採され、次の世代の若木が植えられることになります。そんな場所には陽射しが降り注ぐので、萩などの低木が割り込んできます。
今、萩の花のつぼみがたくさんついているので、間もなく白や赤紫の花が咲き誇る時期がやって来ます。
さて、まず前山寺にお参りして夏の風景のなかの本堂と三重塔を眺めましょう。境内では樹木の枝や葉が茂っていて、建物の姿を少し隠していますが、それはそれで夏らしい趣きです。緑豊かな信州の寺院らしい景色です。
この辺りの寺の参道や境内の並木や樹林は、境目もなく山腹の森林に続いていて、寺めぐりはそのまま森林浴になります。
前山寺の西脇には舗装された小径がありますが、それは弘法山と独鈷山に向かう道です。この道を西に逸れて、小さな谷間の沢を渡る遊歩道に入ります。
あじさいに囲まれた遊歩道
谷間を回り込む遊歩道を進むと、塩田城跡の下に出ますが、そこが「あじさい小道」の東端です。
そこから西におよそ800メートル余り続く山麓の小径が「あじさい小道」です。
これほど長い道のりが続くあじさいの名所は珍しいのではないでしょうか。
ところで、山麓歩きがキツイという人は、クルマでも行けます。前山寺下の舗装道路を山麓に沿ってとにかく西(塩田城跡、龍光院、塩田の館方面)に向かってください。
名所めぐりのシャトルバスも循環しています。
⇒山麓散策グーグルマップ
⇒山麓散策のための絵地図
あじさいは、直射日光よりも、高木の木漏れ日や木陰を好む低木です。
だから山麓の針葉樹や落葉樹の下で元気に育っています。地元の人の世話もあって、あじさいの株はこの辺りの山麓樹林に広がりました。
藪がきれに刈り払われた空間にあじさいが進出して増殖したものでしょうか。
今では遊歩道の両側を取り囲む垣根のように連なっています。花が咲く今頃には、この垣根は人の背丈を超えるほどになっています。
龍光院と塩田の館、塩野池
遊歩道は尾根の形に沿って緩やかに曲がっています。西に向かって歩き続けると、龍光院の参道を横切ることになります。
龍光院の参道はヒバの垣根に縁取られた細い石畳の坂道です。
参道の入口近くにわずかに開けた草地の斜面があります。今やそこにもあじさいが進出して群落をつくり始めています。
龍光院は鎌倉時代にこの地を治めていた塩田北条家の菩提寺となっている禅寺です。
本堂や禅堂、羅漢堂、観音堂などが見もので、予約制の山菜精進料理が名物です。
龍光院から70メートルほど下ったところに「塩田の館」があります。ここでは、「そば」や「うどん」などの麺類と「おやき」を食べることができます。
駐車場もあるので、ここにクルマを止めて散策することもできます。
塩田の館の西には農業用水を溜めている塩野池があります。5月から梅雨の時季には、近隣の水田に大量に水を供給しているので、池の水量はかなり少なめです。
あじさい小道は、塩野池を過ぎて塩野神社の鎮守の森の手前で終わります。
ここで散策を終えて引き返すのこともできあますが、塩野神社とその西側の中禅寺を訪ねることをおススメします。塩野神社には、境内を流れる沢に架かる神殿風の橋と非常に珍しい造りの拝殿・本殿があります。
中禅寺には、重要文化財の茅葺寄棟造りの薬師堂があります。
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