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長野県大町市
 

 龍神湖の背景の山岳は、左から唐沢岳、その奥に野口五郎岳、手前が鳩峰、北葛岳
  信州大町市は北アルプス山麓に位置する街です。市街からほど近くのいたるところに雄大なアルプスの景観のなかに溶け込んでしまうような場所があります。
  高瀬渓谷の出口にあって、アルプスから流れ下る膨大な水を堰き止める大町ダムもそのひとつです。龍神湖と呼ばれるダム湖は、竜のように力強く流れ下る高瀬川の巨大な水源となっています。
  アルプスから流れ出た冷たい水を温めるための蛇行水路で、「ぬるめ」とも呼ばれています。

 
雄大な渓谷を望む

  高瀬川の最上流部(源流)は、大町ダムから30キロメートルも南西にある、槍ケ岳直下にある千丈沢乗越と水俣乗越の断崖から始まっています。つまり槍ケ岳の北側斜面に降った雪や雨が高瀬川の始原なのです。
  槍ケ岳を頂点に三俣蓮華岳から蓮華岳にいたる後立山連峰の東側の降水を集めて高瀬渓谷に流れ込む膨大な水が――高瀬ダム、七倉ダムを経て――最終的に大町ダムで堰き止められ、龍神湖をなしているのです。その稜線の反対側を流れ下るのが黒部川です。


▲大町ダム:高さ107メートル、重力式コンクリート製

▲ダムの南側からの眺め

  大町ダムは高さ107メートルの垂直に立ったコンクリート製の堰堤が、それ自身の重みで水圧に耐えている重力式のダムです。黒部ダムに較べると、水量や水圧がはるかに小さい、穏やかそうなダム風景といえます。ところで、ここで掲載する写真のうち、まだ晩冬の気配をとどめているのが3月末撮影、初夏めいてて見えるのが5月半ば近くの撮影です。

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3月下末、大町山岳博物館からの後立山連峰の眺望: 左から蓮華岳、岩小屋沢岳、爺ケ岳、鹿島槍ケ岳、五竜岳、唐松岳、白馬鑓ケ岳、白馬岳

■アルプスから盆地への最終関門■

  上掲のグーグル・マップを左斜め下にスクロールすると、高瀬川の上流部・源流部を見ることができます。航空写真や「地形」モードにすると、渓谷の深さや岩稜山脈の嶮しさがもっとはっきりわかります。すると、龍神湖よりも上流に七倉ダム湖、さらに高瀬ダム湖があることが見て取れます。
  上流部のこの3つのダム湖で、どうにか後立山連峰東側斜面の降水を高瀬川に安全かつ安定して供給するはたらきをしているわけです。そして、大町ダムと龍神湖は、高瀬川がアルプスから盆地に注ぎ出るうえで最終関門となっているのです。


▲ダムの放水口設備

▲花崗岩質を含む水は翡翠色

  3月末近く、北アルプスでは本格的な雪解け期はまだですが、それしにてもこの冬は記録的に降雪が少なかったので、龍神湖の水量はかなり少なめです。
  6月中旬になっても、貯水量は少なめのまま推移しているようです――降雨が続いたにもかかわらず。発電用の取水配管だけで水を落としているので、放水口は閉鎖したままです。
  今後、梅雨期に雨が続けば、貯水量安定化のために放水があるかもしれません。


▲ダム堰堤上から笹平吊り橋を見る▼

◆ダムからの眺望◆

  ダムの堰堤上(道路)は高瀬川の河床から107メートルも高いところにあって、しかも展望を妨げるものがありません。
  まず西側には、龍神湖の背後にある山岳として、左から唐沢岳、その奥に野口五郎岳、手前が鳩峰、その奥が北葛岳が並んでいます。龍神湖の向かって左側が高瀬渓谷上流部で、この上流に七倉ダム、さらに奥に高瀬ダムがあります。
  東側に開けている展望は、高瀬川の流れの先に大町市街、奥に東山と呼ばれる山並み、そのさらに奥には北から志賀高原のなかでも標高2000メートルを超える笠岳、横手山、白根山の峰々、さらに南に菅平高原の根子岳と四阿山の山頂が顔をのぞかせています。


▲ダム東方の展望

▲右の急坂がダムにのぼる道


ダム北端の大町ダム情報館・管理所

堰堤の幅は8メートルほどありそうだ

107メートル下に発電後の放水貯水槽が見える

水は貯水槽から高瀬川に流れ出ていく

6月半ば近くでも龍神湖の貯水量は少なめのようだ

笹平吊り橋からダムを眺める

清冽な渓流の上に架かる笹平吊り橋

吊り橋を渡ってみた
樹林と草原に囲まれた水路。ゆったりと流れる水。

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