落合宿から十曲峠を越えてきた旅人は、かなり急な坂の宿場街に出会います。それが馬籠宿です。
「木曾路は山のなかだ」としみじみ思い知らされることになります。
そこは、島崎藤村の『夜明け前』の主要な舞台となった宿場です。
そして今でも、物語のモデルとなった本陣や脇本陣、問屋場、そのほかの店舗などが残されています。
今は、県道7号線を踏み越えて、馬籠の街筋に入ることになります。
県道沿いには、土産処と食事処を備えた観光店舗が並んでいます。
県道を渡ると、すぐ右手に五平餅を売る店舗があって、客が並んでいます。道の反対側には、昔風の天水桶(防火用水)が置かれています【写真下】。
◆山岳と平野の中間の丘陵地帯◆
馬籠峠を越えてきた旅人が来し方を振り返ると、東に男だる山(標高1342メートル)が見えます。北には高土幾山(1037メートル)があります。峠道は、この2つの山の間の谷間を抜ける道です。
南を望むと、標高2191メートルの巨大な山、恵那山が見えます。
しかし、これから先の中山道には、もはや視界を遮るような山岳が迫ることはありません。緩やかな丘陵が重なって見えるだけです。
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