▲白樺の黄葉は美しい
▲晩秋の白樺平(10月上旬)
高原の樹木でシラカンバ(白樺)とダケカンバはよく似ている。その識別法から話を始めよう。ダケカンバの方がはるかに耐性が大きく、寒冷や荒れ地に強く、シラカンバがなくなっても生き残る。ダケカンバの方が樹木個体の寿命がはるかに長い。
高山村の志賀高原には直径1メートルほどのダケカンバの老巨樹があるほどだ。
その耐性の差は何よりも幹の表皮に現れる。白樺は表皮が傷みやすく剥がれやすいので、白い表皮に横筋の剥落が頻繁に見られる。そして剥落した跡は黒ずんでいる。
これに対して、ダケカンバは表皮も強く、傷みにくい。だから表皮がきれいに見える。何よりも表皮の色は、白樺ほど白くなく、艶があって茶色味ないし黄色味を帯びている。
白樺平の中心部では地面をクマザサが覆っていません。おそらく人の手が入ってきたからでしょう。白樺の根元をところどころレンゲツツジが覆っていて、6月末から7月はじめ頃にはオレンジ色の花が咲き誇ります。
▲笹の群落越しにレンゲツツジの紅葉
とにかく一度白樺平に来てみてください。手触り実感としての世界観や人生観が変わります。こういう高原の森があるんだ! と。
ことに落葉後の時季と、晩春の若葉が芽生える頃には、白樺樹林一帯に甘いハッカ(ミント風)の薫りが立ち込めています。つまり、根は活発に活動していて、水を吸い上げて維管束をつうじて枝の先に春の芽生えのための養分(糖質)を届けようとしているのです。
ミント風味を帯びた超高級なメイプルシロップの匂いと言えばいいかもしれません。
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