▲雲が移動して青空が顔を出す
どいうわけか、私が美ケ原高原への旅を計画すると、旅の直前に季節の変わり目の強風雨や雪になり、私は天候の回復を後追いするように高原に登ることになることが多いのです。
この日も出発時は高原は厚い雲に覆われていて、途中で旅を諦めることになるかもしれないと覚悟しました。が、クルマの進む先へ先へと雨雲が後退して雲が薄れ、晴れ間が広がっていきました。幸運でした。
雲は南側に後退していったので、尾根を回り込むごとに空模様は変化します。尾根の北側には晴れ間が広がり、南側にはまだ雲が残って垂れこめているのです。
▲雨がもたらした水分が上昇して雲になる
天の南側には雲が残っていて不安でしたが、標高を上昇するにつれて、まるで雨雲を駆逐する青空の波頭に乗っているかのように気分が晴れていきます。
それでも、高原に向かう県道は、急斜面を切通し開削して建設したもので、眼下には千尋の崖が見えます。崩れた場所がないか慎重に検分しながら、ゆっくり景色を眺めながら走ります。
▲崖を切通した山道を往く
昨夜来、嵐のように強風を交えた雨でしたから、風が当たる場所の高木は枝が折れているのが目立ちました。
崖縁の道路は背中がぞくぞくしますが、反面、遠くまで視界が開けて、尾根の峻嶺や晩秋の森が見渡せます。
▲白樺の森は冬への準備が整った
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