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長野県佐久市臼田田口
 
 
 
新海三社神社  

  千曲川を佐久平まで遡上し、臼田の街から支流の雨川沿いに丘陵地帯を東に向かうと、山麓に森に囲まれた広大な神域が現れます。新海三社神社です。
  新海神社とも呼ばれますが、興波岐命オキハギノミコト建御名方命タケミナカタノミコト事代主命コトシロヌシノミコトという3つの神を祀っているので新海三社神社という名称となっています。
  この神社は佐久郡の三庄三十六郷の総社(神社の総元締め)とされてきました。神社の縁起については専門家のあいだでも論争があるらしいのですが、名前から見て、この地方の開拓(新開)とともに生まれたようです。

▲社殿(東本社)の奥にそびえる三重塔▲
  ここにも古来からの神仏習合の伝統が息づいていて、神社と仏塔(舎利殿)とが穏やかに結びついています。三重塔は、神社の宝物庫であることを理由として排仏棄釈運動による破壊を免れたようです。しかし、この神社と一体になっていた神宮寺のほかの建物は分離され、上宮寺に移設されました。

◆巨木の森◆

  臼田駅方面から北上し、雨川の河岸段丘沿いに集落を東に進むと、家並みの向こうに緩やかな山裾斜面をおおう巨樹の森が見えてきます。まさに「こんもり」とした鎮守の森【写真下】です。

鎮守の森

  神社境内の南側の樹林には杉が多いようですが、見上げた枝葉の形とか幹や落ち葉から見て、なかにはヒノキの仲間が混じっているようです。
  参道を取り囲むこの鎮守の森は、巨大な針葉樹からなる森で、樹高が20メートル前後、幹の直径がゆうに1メートルを超すものが目立ちます。拝殿近くの御神木の1つがサワラだということなので、杉のほかにはサワラが多いのかもしれません。
  参道沿いのところどころに灯籠のように立つのは、ケヤキの老巨樹で、少なくとも樹齢は500年はありそうです。南向きの登り道を、陽射しを浴びながら静かに歩くと、心が癒されます。

▲春の陽射しを浴びた参道

  さて、境内の説明書きによれば、この神社は興波岐命おきはぎのみこと、その父神である建御名方命たてみなかたのみこと、伯父神である事代主命ことしろぬしのみこと、そして誉田別命ほんだわけみのみことの四神が主祭神として祀られているということです。
  このうち神社名の三社にあたるのは、はじめの3つで、それぞれ東本社、中本社、西本社に祀られているらしいと推察しました。
  ところが、境内にはざっと見回しただけでも東西1組の十二社と天神社、子安社があるので、たくさんの神様たちでにぎわっているのです。

◆石垣の上の社殿群◆

  山腹の斜面に立地しているため、主要な社殿は石垣で囲われた高台にあります。
  参道に続く石段を登ると南面する拝殿があって、その右に神楽殿があります。拝殿の左右には大きな御神木があって、ケヤキとサワラです。これら左手には社務所の建物。
  拝殿と神楽殿の奥には、一続きに西本社と中本社が並び立ち、そして少し離れて東本社が並んでいます。
  三重塔は東本社のほぼ真後ろの山腹斜面に位置しています。
  東本社と三重塔は国の重要文化財になっています。

北方はるかに浅間山を展望。山頂部には残雪
大鳥居

大鳥居

大鳥居を抜けて斜面が始まる
大ケヤキを過ぎると針葉樹林

▲石段の正面には拝殿 右には神楽殿▼

御神木2本のうち、右がサワラ

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