塔の間近に立って見上げると、三つの層の屋根の垂木の構造が二種類になっているのがわかります。
一層目の垂木の配置形状は放射状で、これは禅宗様式(中国から伝来した様式に近い)と呼ばれているようです。これに対して、二層と三層の垂木は庇の外に向かって正対し、四面の垂木が互いに直交するように組まれています。これを和様式と呼ぶようです。
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このように、境内の説明にあるとおり禅宗様式と和様式とが折衷された設計思想によっています。塔の横の説明によると、室町時代15世紀後半に再建されたときの構造がそのまま保存されているということです。
ここでは、4月後半の桜の花の頃と5月後半の新緑の頃、2つの時季に撮影した三重塔の景観を掲載しました。花にも若葉にもよく似合う塔です。
山腹の斜面にあるこの塔は、周囲を一回りすることができます。そこで写真には撮影方向を示すことにしました。
 ▲花は若葉に変わって(東から)
周囲を森の木々に囲まれたこの塔は、アマチュアにとって写真撮影が大変にむずかしいのです。
塔の基層は闇のような暗さに沈みがちなのに、陽を受けた屋根は輝き、先端部分は強い光を受けて輪郭が消えてしまうほどです。
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