本文へスキップ
長野県駒ケ根市赤穂
 
 
駒ケ根高原の大寺院  

  中央アルプス空木岳の東、駒ケ根高原(駒ケ根市赤穂)にある宝積山光前寺は天台宗の寺院です。寺院の背後に迫る2つの峰は、北側が池山(標高1774メートル)、南側が簫ノ笛山(標高1761メートル)で、ともに空木岳(標高2861メートル)から東に延びた尾根から分岐した隆起です。
  境内が位置する東向きの山麓斜面は標高900メートル近くで、東には仙丈ケ岳から塩見岳にいたる南アルプスの秀峰の連なりを遠望できます。寺院の堂塔は深い森に取り巻かれています。


▲光前寺の背後には空木岳に続く稜線上の峰々が迫る

  光前寺へのアクセスは、JR飯田線駒ケ根駅または中央高速道駒ケ根インターから県道75号を西に向かい、高架をくぐって500メートル西にある光前寺通り(参道への道路)に入ると1キロメートル余りで境内東端の駐車場にいたります。
  寺の境内がある丘陵の北側には大田切川、南側には鼠川が東に向かって流れ下り、木曾山脈東麓の水流を集めて天竜川に合流します。豊かな水に恵まれて、駒ケ根高原一帯にはヒノキやサワラなどからなる森林が広がり、麓の一帯には美しい田園風景が展開しています。


▲境内から東の彼方に眺望する南アルプス

■山林のなかの古刹■


▲仁王門:ここから石畳の参道が始まる

  木曾山脈(中央アルプス)の東麓にある宝積山光前寺は、不動明王を本尊とする天台宗の寺院です。860年(貞観2年)、本聖上人により開山されたそうです。しかし、創建後、何度も火災に見舞われ、その由緒や歴史に関する古い記録を失ってしまったようです。
  本聖上人は比叡山で修行した後、この近くを流れる大田切川の支流、黒川中流の滝のなかから不動明王像を発見し、本尊としてこの寺を開いたのだとか。不動明王を見つけた滝は、光前寺から4キロメートル北北東にある不動滝と呼ばれている場所でしょうか。
  古記録がないということですが、空木岳の尾根裾にあるこの辺りは、開山前には密教の修験場だったかもしれません。初期の寺院は今の場所よりも200メートル以上も山の奥にあったのだとか。

◆石塁に囲まれた参道を往く◆

  中央アルプスの東の山麓丘陵に位置する寺の仁王門辺りでは、遠大な眺望が開けていて、遥か東方に南アルプスの秀麗な峰の連なりを眺めることができます。朝にはそれらの連峰のあいだから陽がのぼってきて、神々しい風景が現れます。陽が没する境内の背後の山岳と陽がのぼりくる秀峰を遠望するこの地は、古代の学僧たちが修行や信仰の拠点とするにまたとない地だったことでしょう。

  さて、仁王門をくぐると石畳の参道が始まります。石垣で取り巻かれた高さ50〜70センチメートルほどの土塁が参道の両側に続き、三門の前まで導いています。土塁の手前側には若い松が植えられていて、その奥にはカエデを交えて杉の老巨木が並んでいます。一群の背の高い老杉は陽射しを遮っていかにも荘厳な気配の木陰をつくり出しています。
  幹や枝のあいだから射し込む陽光の筋は、苔に覆われた土塁と石畳に絶妙な光の紋様を織りなしています。
  土塁の石垣の隙間には、ところどころにヒカリゴケの群落が見られます。ヒカリゴケも光前寺の名物なのです。

◆枝垂桜の前庭と大講堂◆

  仁王門の南側には池があってその周囲を枝垂桜のみごとな古木の列が取り巻いています。春にはさぞや美しい桜花の繚乱が見られることでしょう。
  そんな前庭の奥には、じつに重厚で広壮な結構の大講堂が控えています。均整の取れた大きな屋根の前側には、これまた大きな向拝が庇を差し出しています。


▲庭園から大講堂を眺める

▲大講堂と参道のあいだの様子

  石畳の参道に戻って、大講堂の裏手に回ってみると、一群のカエデとヤマザクラからなる樹林があって、晩秋には紅葉の名所となるようです。樹林は自然探勝園と呼ばれ、そのまま溶け込むように山林に続いています。寺の境内庭園と周囲の深い森林は自然探求の場として大事に保護されているようです。
  カエデの樹林のなかには、これまた重厚な造りの鐘楼が建っています。


鬱蒼とした森林のなかに境内がある

仁王門をくぐると石畳の参道

参道両脇には石垣で囲まれた土塁が続く

土塁には松が植えられている

やがて鬱蒼とした杉並木

杉の巨木が並ぶ参道

仁王門の右手にある池の周りには枝垂桜の列

大講堂を背景に枝垂桜の並木

枝垂桜の古木越しに見る大講堂

重厚で均整が取れた結構の大講堂 石畳参道の南側にはカエデの樹林がある

樹林のなかにある鐘楼

信濃の仏塔めぐりホームに戻る | 次の記事を読む

 
光前寺近隣めぐり

光前寺 Googleマップ

信州まちあるき

別所温泉と塩田平

別所温泉と塩田平を特集

木曾路をめぐる旅

妻籠と馬籠を特集

奈良井まちあるき

木曾路・奈良井宿を特集

  • 木曽路、奈良井の歴史散歩
  • 街並み景観見て歩き
  • フォトギャラリー など