小県郡青木村にある大法寺は、信濃国分寺のほぼ真西に位置しています。そして、この2つの仏塔は「姉妹」ともいえる関係にあるのです。
しかも、別所温泉の安楽寺の八角三重塔は、大法寺のほぼ真南に位置しています。
上田から国道143号線(松本海道)に沿って西に進み、青木村に入ったとたんに出会う辻を右折すると、ひときわ高い子檀嶺岳が見えてきます。そして、大法寺への道の案内板が立っています。
上田盆地の西の端が青木村の東端をなしていて、村域のほとんどは山地です。標高が低いところでも、700メートルを超えていて、周囲をさらに高い山岳で囲まれています。
大法寺は、青木村の東の端、上田市との境界付近にあります。
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上田盆地に三重塔が4つもあるというのは、驚くべきことではないでしょうか。しかも、南北5キロメートル、東西11キロメートルという範囲のうちなのです。
ということは、ちょっぴり慌ただしくなりますが、この4つの三重塔を1日で巡礼することもできるのです。
◆参道脇の羅漢様たち◆
さて、大法寺の観音堂と三重塔は、山裾の集落を通り抜けてきた参道から石段を少し登った場所にあります。その手前(参道の東脇)には、榧の老大樹があって、大きな日陰をつくっています。
参道の傍らには、多数の石の羅漢像が並んでいます。春の陽射しを浴びて、心なしか羅漢様たちの表情は柔らかく見えます。
羅漢様の列が途絶えたところに、青木村郷土美術館の入口があります【写真下】。
ところで、参道をそのまま登っていくと、東昌寺(上田市)に行くことができます。
◆急な斜面に建つ三重塔◆
参道は傾斜のきつい坂道で、急いで歩くと息が切れそうになります。
ところが観音堂は、参道からさらに急な石段を登ったところにあります。しかも三重塔は、さらにきつい傾斜の山腹を切り開いて建てられたようです。
観音堂と三重塔は、両側を谷に挟まれた尾根筋にあります。
三重塔をやや遠景で撮影するために、参道の西側の棚田の畔に登ってみました。
おりしも桜の花が満開になっていて、境内の桜の花枝越しに塔の先端が見えます。
塔の背後に迫っているのは、飯縄山の尾根筋の脇隆起でしょう。
いかにも山寺という風情です。
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