三重塔の北側には山腹が迫っています。その斜面には水分神社が祀られています。
三重塔の手前の石段を登ると、拝殿が現れ、その奥に本殿があります。
この神社は古くは諏訪神社となっていましたが、江戸時代の前期に近隣の開拓が始まると、境内には豊かな水源があって、ここから農耕地への灌漑用水が分岐配分されたことから、水分神社となったようです。
▲水分神社の本殿
そういう来歴や伝統から、ここでは不毛な神仏分離や排仏棄釈はおこなわれなかったのかもしれません。ここは、まさに水分け(水源)の杜です。
◆清冽で豊かな水◆
▲田植え後の水田
真楽寺の境内にはいくつも池や水路があって、近隣の人びとが季節ごとに用水整備・清掃をおこなっています。一帯の植生や生態系は、水源林として大切に守られています。
山腹の上流から境内に流れ込んだ水は、あちらこちらに水辺をつくりながら流れ下り、隣接する田畑を潤します。
水田と境内とは境い目もなく隣接し、まるで境内のなかにあるようです。
竜神伝説がある大沼の池は、樹林に囲まれ、樹間越しに輝く水面が見えます。竜神像が水面に顔を出しています。池は、仁王門から観音堂に続く参道の脇にあります。
境内の美しい光景は、多くの絵描きたちを引き寄せ、この日も、大沼の周囲には画架が並んでいました。
▲画家が集う水辺
樹林の参道の西側には一段高い斜面があって、高い石垣で隔てられています。そこにも池があります。
あるいは魚が飼育されているのかもしれませんが、水面はホテイアオイの群落におおわれています。
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