ここでは、前山寺の仏塔を取り巻く環境を紹介する風景を紹介しましょう。
前山寺の寺域・境内は、山麓から山腹にかけての斜面を利用した何段もの段丘からなっています。
まず参道は、緩やかな斜面に並ぶ木立に取り巻かれ、独特の大らかな立体感や奥行き感が心を和ませてくれます。
参道が尽きると石段を上り山門をくぐります。
そこは本堂や庫裏、鐘楼などが配置された段丘になっています。
◆本堂から見上げる塔の姿◆
三重塔は、この段丘のもうひとつ上の段丘に位置しています。
ここから見上げる塔は、背後に迫る尾根を背景に、ひときわ高く堂々と聳えて見えます。
段丘を縁どる急斜面は草や樹木に覆われています。鐘楼や塔、明王堂は、こうした樹木の緑に取り囲まれているのです。
塔が建っている段丘の上には墓苑があって、山腹に続いています。墓苑の小径を登って、塔をやや見下ろす場所に立つと、また別の景観が開けます。
◆斜面に広がる山水庭園◆
本堂と庫裏(茶房)の南側には急峻な斜面をそのまま利用した山水庭園があります。
人為によってつくられた山水庭園は、境い目もなく山林に連なり融合しています【写真下】。
山水庭園の池の周りには、何やら珍しい植物・花が植えられています。
本堂や三重塔などの大きな物体と山水庭園のなかの小さな生き物まで、境内には世界の縮図が描かれているようです。
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