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さて、街筋に戻ると、「ねずこ下駄」の看板を掲げる店。「ネズコ」は、ヒノキとともに木曾の山林で豊富に採れる樹種で、上質な木工品ができます。
尾又では、街道の東側に山が迫っていて、家並みは街道の西側だけです。ここから「寺下」と呼ばれる区画まで、西側に美しい家並みが続きます。
寺下では街並みは道の両側にあります。峠を下りてきた道のせいか、道は緩やかに下っています。
家並みがしばらく続いたところで、光徳寺の下まで来ると、ふたたび急な斜面がせり出して、街道の東側の街並みが途切れます。そして、道は右に緩やかに曲がっていきます。
寺の真下、石段の横には「寒山拾得の石仏があります。双体(2つ)の仏が彫られていて、ほかに類例がないといいます。
◆旧街道の面影と桝形◆
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ここで道は2つに分かれます。左に行く狭い道は昔の木曾街道で、少し下り加減です。民宿旅館や土産品店などの古い建物が並んでいます。
旧街道はここでほぼ直角に2回曲がります。桝形という石垣土塁によって、街道が二度直角に曲がらないと進めないような形になっているのです【写真下:桝形跡】。⇒参考記事
これは、街道と宿駅が、元来は幕府の統治ならびに防衛のための軍事施設だったからです。
街道の右側には急な山腹を上る石段があって、これは光徳寺に登る参道です。
光徳寺は、石垣でかためられた尾根山腹に位置していて、まるで城のようです。
桝形と石垣の寺が街道を挟む形で対になっていることには、政治上・軍事上 の意味があったのかもしれません。
街道は寺がある尾根を回り込むように湾曲していて、そこから道はかなりの登りになります。
ここからの妻籠の街並みには、大きな高低差があります。寺下からずっと北に向かって登りつめていくことになります。
この高低差によって、宿場の入り口に立つと、独特の奥行きというか、立体感を感じます。
⇒尾又〜寺下の街並みを詳しく見る
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