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本陣(陣屋)には問屋場と人馬会所が併設されていました。
問屋場と人馬会所は、木曾街道の宿場間の輸送・物流を手配する業務の管理事務所で、役職者は幕府の命を受けて尾張藩から任命されていました。
ここには、宿場の「年寄役」も何人かつめていて、問屋の業務を補佐したり、人馬の手配の現場実務を担っていました。
本陣とは、その名のとおり、戦国時代の武将たちの前戦作戦本部を模して、街道制度において軍事施設としての位置づけを与えられた幕府指定の旅館です。
宿泊施設としての本陣は、参覲交代のさいの大名一行とか、公家や幕府公用の旅行者(役人)を泊める宿でした。大名行列や幕府の役人は軽武装をしていて、騎馬もありましたから、本陣には軍馬用の厩と槍や刀を保管する武器庫の併設が義務づけられていました。
さて、中町の中央部に位置する本陣と街道を挟んでほぼ向かいに脇本陣があります。南木曽町博物館の中心施設で、歴史資料館が併設されています。
脇本陣には、本陣で受け入れきれない公用の旅客を泊めるとか、本陣を補佐する役目が与えられていました。
妻籠では、脇本陣奥谷、林家は、宿駅の旅客運輸とか街道輸送の人馬を手配・管理する問屋の業務も担っていました。
この辺から下町にかけてが、観光ビジネスから見て「街の中心部」で、旅館や食事処、土産品店が軒を並べています。往時の面影を残す建物群の街並みが続いています。
街並みの特徴からすると、この街に住んだり仕事をしたりしている人たちの大半が、妻籠宿の観光にかかわっているように見受けられます。
街並み景観を形成し保つことが、暮らしの生計に直結しているので、景観にはことのほか気を配っている様子がわかります。
それもあって、建物と隣接して手入れされた端正な庭園や植栽があるので、たいそう美しい風景が楽しめます。
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