60年以上前の落雷火災を生き延びた大ケヤキ(神木)▲
善光寺平の伝統的な風景は、村落ごとに鎮守の神社があって、神社の境内と鎮守の杜は、水田畑作地帯のなかに大海のなかの島のように浮かんで見えます。春から秋には樹林の枝葉が生い茂って、境内は薄暗くなります。真夏には強い陽射しと根っ暑熱を遮ってくれて、神域には田園の風が吹き抜けて、涼やかでありがたい空間となります。このような神社の鎮守の杜を社叢と呼びます。
善光寺平にある村社の社叢の規模としては、東福寺神社は横田神社、小松原伊勢神社、更級斗女神社などと並んでトップクラスです。そして、均斉の取れた四辺形の帯の形状をなして境内神域を取り囲んでいるのは、ただ東福寺神社だけです。私たち地元住民は、境内神域を取り囲む樹林の「均整の取れた美しさ」――このような形で社叢を保存してきたことを――を胸のなかで誇りにしています。
▲長野南運動公園の南に隣接する東福寺神社の社叢(鎮守の杜)と社殿群
とはいえ、樹々が枝葉を成長繁茂させて社叢が鬱蒼とする季節には境内は薄暗くなるので、私のような素人には写真撮影が難しい場所でもあります。で、真冬の午前中に神社を撮影してみました。ところが、厳冬季の澄み切った大気のなかに射し込んでくる陽光は、まぶしいほどに強く、逆光気味になってかえって撮影は難しくなりました。ただし、私の目にはあらゆるものの輪郭はすこぶる明確になります――人間の目はよくできています。しかし、カメラの操作が難しくなりました。
▲南運動公園の南隣にあって、神社があたかもUスタジアムを護り、率いているようだ。凛然と存在する大鳥居と社叢。
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