参道は樹林の下の日陰を行く小径で、その石畳は苔に囲まれています。参道を登っていくと、左側に棚田のように段をなして池が続いています。池のなかには鯉が悠然と泳いでいます。
池や水路は境内の南側に集中しています。南西側の斜面沿いに水脈があって、水路が引かれ、とことどころに池が配置されているのです。
▲遅い春、苔が広がり始める(5月)
▲若葉とともに苔の季節も始まる
◆苔の森の息吹◆
寒さの厳しい佐久高原では、冬季、苔の地面は固く凍結します。苔の地面は黄褐色に変わります。それでも苔は生きていて、芽吹きの頃から「黄緑のじゅうたん」が広がっていきます。
▲境内のな端の斜面には水路
季節ごとの天候によって苔の生存状況は変化していきます。雨の少ない時期には苔は勢力を弱め、梅雨や秋雨の頃には勢力を盛り返します。
そこで、境内の苔の様子を見ながら、静かな季節の移ろいを感受することになります。
▲木漏れ日が描く淡い紋様
苔むす参道の奥に三重塔があります。そこだけ木々の枝がつくる天井が抜けたような感じで、塔の屋根には信州の強い陽射しが降り注いでいます。
【写真下】4月下旬、桜が満開の頃です。信州の森では、葉芽は強い春の陽射しから身を守るために、晩秋の紅葉季のような赤い色をしています。
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