貞祥寺が位置する佐久市前山は、軽井沢と蓼科高原や白樺湖を結ぶ線のちょうど真ん中にあります。
高原と高原を結ぶ盆地の端、蓼科にのぼっていく丘陵の入口ともいうべき場所です。2.5キロメートルほど北東に野沢の市街地があります。野沢の街あるきは、次の記事で特集します。
右上の写真の狭い舗装道路をクルマで登り、身体の不自由な人や歩行困難な人は、この道から寺の堂宇に行くことができます。
その道の直下には「平和記念碑」が設置されています。太平洋戦争の悲惨な体験をした元兵士が平和を願って建立したものを、ここに移設したとか。
◆洞 源 湖◆
貞祥寺の参道の下には洞源湖があります。洞源とは、古くからのこの辺りの地名ではないでしょうか。貞祥寺の山号も「洞源山」となっています。
洞源湖は、全体として整った長四角の形をしているので、本来は、片貝川の支流の水をためてつくった、水田灌漑用または治水用の池だったではないでしょうか。
しかし、最近では本来の目的に利用されなくなったため、湖中に足が密生して泥土が堆積し、保水量はかなり少なくなったようです。
そして、むしろ近隣住民の保養地として利用されるようになり、湖畔にはマレットゴルフ場やクアハウス、遊歩道が設置されたのかもしれません。
湖畔の遊歩道や道路沿いにはたくさんの桜の木が植えてあって、みごとな並木をつくり上げています。春には花見の名所となっています。美しい花を咲かせた並木の景観写真は、この最初の記事ページに掲載してあります。
ところで、湖畔には5月中旬から下旬になると、みごとな花を咲かせるツツジが数本あるのです。花の色や葉の形などからすると、どうやらレンゲツツジらしいのです。
しかし、レンゲツツジは本来は標高2000メートル前後の山岳や高原に育成する植物で、しかもこれほどには大きくなりません。
考えられるのは、数十年前に蓼科高原や美ケ原高原などから、ここに幼木を移植したのではないかということです。
山岳・高原に比べればはるかに温暖なこの地に根付いたレンゲツツジが、こんなに大木なったのではないか。私は、勝手にそんな空想を描いてみました。
【写真上】蓼科スカイラインから浅間山を展望
【写真下】美笹湖:洞源湖の脇を通る蓼科スカイラインを登っていくと、6キロメートルほどで美笹湖という人造ダム湖があります。ハイキングやキャンプに向いた高原の湖畔風景です。
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