鳥居トンネルを抜けて奈良井宿を左横手に見ながら国道19号線を走ると、宿の中ほどを過ぎたあたりで奇妙な「道の駅」がある。駐車場だけで、売店や案内所など、そのほかの施設や建物はないのだ。
「道の駅の呼び物は街並みそのものだ」ということなのだろうか。そこで休憩し、みやげ物選びや食事をするつもりなら、木曾の大橋を渡って街筋を訪ねるしかない。
木曾の大橋を渡ってみるだけでも、面白い経験になる。
奈良井川に架けられたこの橋は、樹齢300年以上の檜の大木から切り出した材木からつくられているという。往時の建築技法によって設計施工された。衝撃や重みに対する強さを保つためにアーチ型になっている。
橋の袂に立ってみると、橋は宙空に大きなアーチを描いている。横から見ると虹の形の架け橋だ。アーチのてっぺんから周囲の山並みや川の流れ、そして奈良井の家並みを眺めてみるのも一興だ。
橋を渡ると、緑豊かな公園がある。「ふれあい広場」と呼ばれている。草原とそれを囲む樹林があって、近くには数箇所の駐車場(無料)と休憩所、お手洗いがある。
公園のなかには、植栽と草原を抜ける小さな水路が敷かれていて、橋の近くで池をつくっている。奈良井川の清流、広場の水路と池、木曾谷の水の豊富さを感じさせるデザインだ。
ここから、宿の街筋に行くためには、一番東の駐車場から道路を北に渡って、JRの線路をくぐる遊歩道(小さなトンネル)を通ればいい。駅のすぐ西の街筋に出る。
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