◆飯綱山常光寺◆
飯綱山常光寺は、16世紀後半に高野山の高僧が復興してから続く真言宗の名刹です。それ以前、15世紀の半ばにやはり高野山の高僧が荒廃した寺院を再興したのですが、間もなく戦国時代になったせいか、100年間ほどで廃寺になってしまいました。
この寺院の裏山には飯縄城跡があるので、この辺りの集落は中世鎌倉期から城下町だったかもしれません。興亡常なき寺の歴史は、城砦をめぐる武士たちの攻防と関係がありそうです。
▲端正に整備された庭園
堂宇の屋根大棟にある寺紋は「三階菱」。これは甲斐武田の家門ですが、松本に本拠を置いた信濃の国守護、小笠原家の紋でもあります。
それは、戦国期に武田家の保護を受けたということなのか、あるいは戦国末期から江戸期に小笠原家と結びついたことを意味するのか。公開された寺の由緒や歴史に関する史料がないので、わかりません。
寺の再興のために高野山からたびたび高僧が派遣されたことから見ると、少なくとも平安末期に真言密教修行の場として開基されていたのではないかと、私は勝手に考えています。
というのは、裏山全体を地の神として祀りながら密教修験の場とするのは、古代の真言密教の信仰スタイルだからです。
▲寺は急峻な山腹にある
▲境内の神社 神仏は密接に融合
ところで、飯綱山常光寺は花の名所で、5月にはシャクナゲが、7月にはアジサイが開花して全国から参観者がやって来ます。そのときには、拝観料が必要になるようです。
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