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長野県東筑摩郡麻績村
御厨を鎮護した神社


▲神明宮の神楽殿と拝殿


▲本殿を模して建てられた仮殿(本殿の西脇)

  平安時代の11~12世紀に麻績郷に御厨(伊勢神宮の料地)が開かれたときに、この地に伊勢神宮(豊受比売命)から勧請して神明宮を創建したと見られています。1897年(明治30年)に、神社の記録にある本来の祭神天照大神を奉斎するようになったそうです。
  神社の記録には、7世紀半ばに現地に遷座して豊受比売命を祀る神社としたとされ、それ以前には天照大神を祀っていたと記されているとか。その遷座以前には、麻績川の対岸に古い伊勢社があったとも言われています。

■山奥の密教寺院だった■


▲神明宮大杉
▲手水舎

  善光寺街道(国道403号)から県道55号を700メートルほど東に進むと北側に神明宮の大鳥居があります。神明宮の参道はそこから北に延びています。この辺りは宮本と呼ばれる古い集落です。
  参道を歩いて境内に近づくと、大きな造りの舞殿が迫ってきます。神楽殿は奥にあって神楽舞の奉納はそこでおこなわれるはずなので、舞殿はおそらく村芝居などに用いられてきたのでしょう。
  信州の古い伝統を持つ村落では、例祭のさいに各集落ごとに狂言や歌舞伎を奉納し、近郷近在から神明宮に参集した人びとを楽しませました。そういう村芝居は、今では大鹿村など少数の村にしか残されていません。テレヴィや映画がなかった時代、例祭の村芝居は人びとの何よりの娯楽だったそうです。
  舞殿の東脇には神明宮名物の大杉が屹立しています。この老巨樹にはことさら神木という標記は添えられていませんが、神が宿る木とされているのでしょう。


▲本殿脇から境内を眺める

▲神楽殿裏の壇上の境内社

▲境内摂社の小さな祠

  さて、境内の最上壇には、拝殿の奥に本殿が建てられています。この本殿は信州でも最大級の規模で、しかも伝統的な様式にもとづいて建築されていて、国の重要文化財となっています。
  この本殿も、伊勢神宮に準じた遷宮をおこなうのでしょうか。もしそうなら何かもったいないような気がします。それくらいに立派な建造物です。

  拝殿の前には神楽殿が置かれています。これまた重厚な造りで、ここで舞う神楽はさぞやみごとなものでしょう。
  私自身は、重厚な建物よりも拝殿・本殿の西脇に置かれた仮殿がすこぶる印象的に感じました。
  小ぶりで素朴な造りがいたく気に入ったのです。基本的な造りは本殿と同じなのですが、小ぶりな分、厳めしさよりも親しみを感じたからです。


大鳥居から続く参道

境内入り口

大きな造りの舞殿

舞殿の正面

神楽殿:肩葺きだが保護用金属板を被せてある

神楽殿の正面

石段の上の拝殿

右側が本殿:千木が天を衝く神明社造り

この重厚なお堂が本堂か

仮殿の素朴な味が素晴らしい

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