笠取峠を下りきって、芦田宿に足を踏み入れてみましょう。
明治以降、街道の道筋はかなり改造されてしまったようで、芦田の街にまっすぐに入っていきます。
とこおろが往時、は宿場街の入り口に桝形があったそうです。だとすると右の写真の道にはどこかでクランク状の曲がり角があったはずです。桝形は、宿場の西の入り口にある正明寺と一体となって、軍事的な防備装置となっていたのでしょう。
参覲道中の大名がこの宿に泊まった場合には、桝形の前に見張り番兵を配置して、夜中には街道の通行を警戒し大幅に制限したのです。そのため、街の住民が夜間に利用する裏道があって、桝形の脇から家並みの裏手を通っていたのです。
おそらく桝形や裏道は明治期に田畑になってしまったようで、痕跡は見つかりません。
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▲正明寺の本堂
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▲ところどころに古い造りの家屋が残る
街の姿は、いかにも旧街道沿いの家並みらしく好印象です。通りには昭和レトロな建物もありますが、無住になって久しく、屋根が抜け落ちてしまっています。過疎化の影響のようです。建物自体は端正な造りで、粋な趣ですが、放置されていてもったいない話です。
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▲街道沿いの民家。総和初期の建築か? 屋根が抜け落ちている。
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