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城と松本神社の間を通る道路は、樹林と呼べるほど豊かな街路樹に縁どられている。街の中心部に城郭公園がある何よりの長所は、この緑の深さだ。それは、街と盆地を取り囲む雄大な山岳・高原とみごとに溶け合う。
▲松本神社の水場。ケヤキの大木が周囲に影を落とし、夏にはうれしい憩いの場となる。
開智という地区は、お城のすぐ北隣にあるせいか、レトロな時代感覚を漂わせる街だ。江戸時代、明治時代、大正、昭和と。神社を通り過ぎると、あの懐かしい郵便ポストに出会うことになる。近隣の家の感じも「昭和風」【写真下】。
北に歩くとT字路の向かいに開智小学校。現代風のデザインの学校で、鉛筆のような尖塔が目を引く。その奥には、明治時代の開智学校の建物が見えます。現代と過去とが建築様式として鋭い対比をなしている。
小学校の校庭を回り込んで開智学校に向かう歩道も緑豊かな並木道【写真上】。
国の重要文化財である建物は、明治初期の文明開化を象徴する疑似洋風建築で、和洋折衷の美しい建物だ。寄棟造りの建物の正面中央には唐破風があって、中国の宋から影響を受けた禅宗様式を洋風に仕立て上げている。
外国の文化を取り込むのに長けた日本を代表するような雰囲気で、ざっと800年くらいの歴史を圧縮重層させたかのようだ。
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