◆静かな境内◆
正月の初詣や仏事縁日には多くの人が集まりますが、平日は人の姿もなく、深い森に囲まれた境内は閑寂に包まれています。森閑とはまさにこのことを言うでしょう。
山中にあるにもかかわらず、建物はどれも広壮です。
本坊は棟入りの本棟造りで、妻側を見ると江戸時代の民家のように見えます。でも、寺院の建物ということで、大きな破風を入り口に設けるために棟入りの造りになってます。
本坊は如意輪堂に続いています。
如意輪堂は大きな寄棟造りのお堂で、建物の名前の通り、如意輪観音菩薩を本尊としています。
▲如意輪堂の内部 荘厳な須弥壇
▲如意輪堂の前の惣門 参詣用の門だという。この門は2007年に改築されたもの。
◆2体の臥牛像に迎えられて◆
如意輪堂の前には2体の臥牛像が並んでいます。2体の牛像のあいだを通って石段を登ると仁王門にいたります。
仁王門は十二脚の立派な楼門で、柱や冠木、裳階など木製の部分は朱漆が塗られています。
仁王門をくぐると、「大悲閣」という扁額を掲げられたこれまた重厚な観音堂。ここには十一面観音が祀られています。
観音堂の奥には奥殿、その南側には弁天堂が並んでいます。
▲弁天堂(右)と奥殿
◆境内は三段ないし四段の構造◆
山門の内側の境内は三段の構造になっています。
山門から本坊、如意輪堂が位置する平面の上に、仁王門で仕切られて観音堂や奥殿がある段があります。
ところが、観音堂の前から南を見ると、谷の側にさらにもう一段上の平面があります。そこには聖徳太子殿と厄除けの鐘楼があります。
主な段は三層ですが、池の外側に小さな平面がひとつあります。今そこには何もないのですが、その昔は小さなお堂または小さな三重塔があったのではないかと空想しました。
常夜灯に蒸した苔
今年は雨が多いせいでこんなに分厚い苔が生えたのだろうか。だが、この谷はもともと水分が多いうえに、深い森に囲まれて日陰が多いところなので、例年、苔が育つのかもしれない。
というのも、この元気な緑の苔の下には、すっかり枯れた苔の層があるからだ。
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