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長野県小諸市与良
 
 
小諸宿の南端  


▲与良館近くから与良の南端方面を眺める

  その昔、追分宿から北国街道をたどって来た旅人は、蛇堀川を越えて小諸宿に入りました。宿の入口が与良の街並みでした。

  ところが今では、北国街道は舗装された県道40号に代わり、この県道は蛇堀川を重厚な鉄筋コンクリートの蛇堀橋で渡ってしまいます。蛇堀川は大地を削って、幅50メートルを越える深い谷をつくっているのですが、クルマに乗っていれば、川を越えたことにも気がつきません。
  この川は、今では道路から6メートルも下の谷底を流れています。江戸時代には、この谷筋はどのようになっていたのでしょうか。【写真左上:蛇堀川の谷間の樹林帯】

■宿場街の変貌■

◆与良の南端境界は蛇堀川◆

  旧北国街道を南東から歩いてくると、蛇堀川の上にある道路東脇に小諸宿入口を示す大きな標柱が建てられています。


▲小諸宿入口の与良街を示す標柱

  その空き地には、蛇堀川の谷間の樹林が迫っています。往時、旅人はこの深い谷に架けられた橋を渡って与良街に入ったのでしょう。


  与良の南端付近でも街並み景観は変貌しているようです。伝統的な街並み景観は少しずつ消え去っているようです。
  古い蔵造り町屋店舗が残っていても、もはや営業していないように見えます。管理はされているようですが、無住の様子。それでも、町屋として外観だけでも残してほしい景観です。


▲老朽化が目立つ蔵造り家屋群

  街道沿いには駐車場や荒れた草地になった空き地が目立ち、その周囲には老朽化した蔵造り家屋が残されています。このあと何とか保存されるのか、朽ち果てるのか、あるいは解体されてしまうのか、懸念されます。
  一方で、街並み景観のコンセプトに合わせて新築された蔵造り風家屋もあります。

◆残されている街並み◆


▲「中吉」と「熊木仏具造花店」

  「中吉」は老舗店舗が食事処として再生されました。この店から「熊木仏具店」と古い蔵造り風店舗家屋、「現金屋酒店」・・・と、角地まで軒を連ねて屋並みを形成しています。
  店舗家屋が続く街並みがあると、少しほっとします。
  とはいえ、半分ほどはすでに事業を止めていて、住人もいないような家屋のように見受けられます。

◆与良家住宅は江戸初期の建物◆

  さて、与良館から200メートルほど南東に進んだところ、街道よりも石垣を積んで一段高くなった敷地に「与良家」邸があります。
  この家屋は400年前の江戸初期の豪農の住居建物で、本来は茅葺屋根でしたが、今はトタンで覆われています。縁側がなく、正面壁面は土壁と障子戸からなっています。
  前庭には藤棚や梅の木、杉などが配置され、家の裏(北東側)には背の高い針葉樹の屋敷杜があります。敷地内の樹木・樹林の様子は江戸時代から続いてきた風情がのこされているようです。


蛇堀橋に向かって道は下っている

米穀店だが屋号は「現金屋本店」
「現金屋竹材店」
現金屋という屋号の店がいくつもある。
同じ先祖をもつ一族なのだろうか。

蔵造り町屋店舗がポツンと残っている。
店舗の営業は何年も前に停止したようだ。

その隣にある蔵造り風の新築家屋

懐かしい風情の町屋

「熊木」と「現金屋酒店」の間の町屋家屋

与良館から南を望んだ風景
残されている看板から、寄棟造りの店舗は「たばこ店」だったと推定できる。
この角地から「中吉」まで家並みが続いている。

石垣の上は与良家住宅
与良家宅は400年前の建築

▲旧北国街道沿いの与良の街並み

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