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長野県諏訪市~茅野市
 

諏訪大社上社本宮の東参道から茅野方面の眺め: 八ケ岳連峰を見ながら東(右方向)に歩くと前宮にいたる


本宮から前宮まで  


▲左に曲がると本宮東参道の入り口: このカーヴで正面に八ケ岳北部の秀峰列が見えてくる

  私は諏訪大社上社本宮から前宮まで歩いてみることにしました。諏訪大社上社の近くで街歩きをするうえでおススメのコースがいくつかあります。今回は、そのうち本宮の東参道から東方に歩き始めて前宮まで向かうコースをめぐります。
  およそ1.5キロメートルほどの道のりです。だいたい東南東に向かって進むのですが、道すがら、ずっと左手に――家並みや田園越しに――八ケ岳の雄大な山並みを眺めていくことになります。
  東参道沿いには和風の大きな造りの家屋が並んでいて、以下にも歴史がある神社の門前町という雰囲気です。


▲東参道から上社本宮の青銅鳥居と境内の森林を眺める

  本宮と前宮はともに糸魚川=静岡構造線の上に位置しています。社殿は巨大な断層崖に沿って置かれています。その意味では、本宮から前宮までは断層に沿って歩く散策となります。右手にその断層崖やその奥に続く尾根を眺めながら歩きます。
  さて、本宮の手水舎と青銅鳥居から始まる東参道はひとまず段丘を下る道行きです。標高としては、780メートルくらいのところから10メートルほど下ることになります。そして県道16号に出て、前宮前までゆっくりとさらに10メートル下っていきます。
  同じ道筋ですが、前宮の近くで国道152号と道の呼び名が変わります。鎌倉時代までは、この地点は諏訪湖の水面の下あるいは波打ち際にあったようです。当時、諏訪湖の水面は現在よりも少なくとも30メートルは高かったと推定できます。

■守屋山系の尾根裾の道■


▲高台からの八ケ岳の眺望

▲薬医門があって旅籠のような構え

  東参道から県道16号・国道152号と続く幹線は明治以降に造られた道です。この道筋は、守屋山系の北端に張り出した尾根裾を西から東に横切って往きます。しかし、鎌倉道とも連絡していたと言われる古い時代の道の跡は、下馬沢側辺りまでは失われています。古い道の遺構は、参道の下に埋もれているのか、それともさらに上の尾根斜面を通っていたのか。謎は残ります。
  法華寺前の絵図によると、幕末まで東参道は神宮寺の支院宿坊の列の間を往く神宮寺境内の参道だったようです。この道は鎌倉西街道とも呼ばれていました。

  さて、本宮東参道の大鳥居の南脇に叢林にのぼる石段があります。石段の上は若宮八幡社です。諏訪では、その起源や由緒が諏訪大社と関係がなくても、諏訪大社を頂点とする体系序列に組み込まれれいるので、社殿の四囲には御柱が建てられています。


▲高低差がある小路が連なっている

▲ここから東参道に入る

  さらに東参道を進むと、南脇に崖のように険しいな斜面に参道石段が見えてきます。これが北斗神社で、参道の段数は200もあるそうです。崖の上の社殿まで高低差は、だいたい30メートルほどありそうです。
  若宮八幡と北斗神社は別の機会にあらためて探訪することにします。

  やはり歴史・由緒がある神社の門前街には和風の古民家の家並みがあるのとないのとでは、景観の見栄えというか重みが相当に違ってきます。
  そんなふうに思う私の目は、沿道に古民家や和風の家屋を探し求めることになります。すると、県道16号沿いに何やら由緒がありそうな重厚な薬医門とその奥の庭園樹林を見つけました。かつて諏訪大社の権祝――「ごんのほうり」または「ごんほうり」と読むとか――という神官(祝氏の補佐役)を務めた矢島家邸跡だそうです。
  薬医門は形からすると、江戸時代の地方藩の家老など重職の屋敷にあるような結構です。美しい庭園と大棟造り古民家があるようですが、私有らしく公開はされていません。⇒外部サイトの参考資料


▲火焼山東麓の下馬沢川の渓谷

  やがて県道の南側に神長官守矢史料館の駐車場と遺構(屋敷跡)が見えてきました。ここは別の機会に探訪します。
  この辺りから南側に下馬沢川沿いの山麓斜面が近づいてます。その斜面には古くからの集落が続いています。下馬沢川は火焼山ひとぼしがわの尾根の東麓の谷間を流れ下る渓流です。


修築されたらしい広壮な古民家

東参道と参道沿いの駐車場

参道から若宮八幡宮社殿を眺める

北斗神社の長い長い石段参道

東参道沿いの双体道祖神

石清水:神社として祀られている

県道沿いの重厚な薬医門:旧権祝矢島家屋敷跡

和風の広壮な家屋。諏訪社の近隣に似つかわしい。

下馬沢川沿い斜面にある古い集落

道の左手(北側)に八ケ岳の南端が見える

神長官守矢史料館への入り口

史料館(遺構)の門

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