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▲谷は姫川に向かって下っている
番所を中心とした千国の集落は、街道沿いに標高600~680メートルの段丘台地=扇状地に位置しています。
集落の東側には岩戸山などの尾根が迫っていますが、それらは姫川の深い峡谷の対岸に並んでいる山並みです。
この辺りの地形を説明すると、こうです。
深い谷底を南北に流れる姫川の左岸(西岸)の奥には後立山連峰(北アルプス)の北端の稜線がこれまた南北に連なっています。
連峰の峰々はそれぞれ姫川の渓谷に向かって長い尾根を何筋も伸ばしています。尾根筋は姫川に近づくと河岸段丘などになりますが、尾根筋のあいだに谷間が刻まれ、ところどころ狭い扇状地になっています。
千国街道は北アルプスから東に延びるあまたの稜線の麓近くを南北に通っているのです。あまたの巨大な稜線にはスキー場が南北に――北から白馬コルチナ、乗鞍温泉、栂池高原スキー場――並んでいます。
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▲一軒だけ残る茅葺屋根
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▲茅葺に金属板を被せた古民家
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▲公民館らしい古民家
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▲田植え前の水田に古民家と山が映る
さて、ずっと南下してきた千国街道は、番所の手前でほぼ直角に曲がり、谷間の急坂をのぼることになります。そして親沢の中流部の堰堤滝を過ぎてから向きを転じて白馬村に向かいます。
諏訪神社前から千国街道は県道433号となって乗鞍温泉スキー場と栂池高原スキー場の麓を回り込みながら南下していきます。
こうして、千国街道は千国で一度西向きにに転じて、姫川渓谷から2キロメートル余り離れた高原を往くことになります。というのも、千国の南には、標高850メートルほどの前山が立ちはだかっていて、姫川沿いの崖を避けるためには、西に迂回するしかないからです。
前山の山腹を回り込むために街道は、千国の諏訪神社から1.5キロメートルの道のりで200メートルほどものぼることになります。
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▲立派な古民家だが無住のようだ
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▲栂池高原に向かう街道
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