◆交流と観光案内の拠点◆
▲茶の間の障子越しに見える軒端の干し柿
この街あるきサイトの取材旅行で、私はその街の街づくりや交流の拠点となっている施設にお邪魔して、人びとの話を聞くことにしています。
下諏訪には、そういう施設・場所がいくつかあります。伏見屋邸もそのひとつです。この家屋は民俗文化博物館というか資料展示館にもなっていますが、住民たち自身の交流の場でもあり、私たち旅人へのお接待や観光案内をする拠点ともなっています。
街のヴォランティアの人たちが集まっていて、茶飲み話のなかで街の情報、観光の穴場の情報が得られます。
◆近隣の街並みを楽しむ◆
▲辻を曲がって、旧中山道の反対側を見る
伏見屋邸は、三ツ辻(三叉路)に面しています。
その三ツ辻を南に折れてみると、近隣の住宅街を通る道があります。農村に囲まれていた下ノ諏訪宿の名残が感じられる風景に出会います。
田園地帯や山野に隣接する古くからの街の趣です。それは、1970年代まで、東京都の中野区や杉並区などでもよく見られた、人にやさしい街の風景です。
鎌倉や京都が世界中の人に好まれるのは、伝統的な街並み景観が里山とか田野に近い風趣をもっているからではないかと思われます。この下諏訪町の街並みにも、同じ魅力を感じます。
ことに伏見屋邸の近辺には、農家風の土蔵が多く、「日本人のふるさと」とも言える懐かしさを感じさせます。
▲諏訪大社の摂社らしい。近隣の家門の屋敷神を総括する社だろう。祠の四囲に御柱が立てられている。
▲腰板白壁の土蔵の傍らに一里塚跡の石碑
神社の街、下諏訪に特有の「神々の曼陀羅」風景もあります。各戸の屋敷内に小さな稲荷社(屋敷神)が祀られ、さらに同族が祀る街中の社があって、その上に諏訪大社がそれらを統べているという世界観が、街並みの風景に表されているのです。
そんな風景を探しながら歩いていると、やがて、春宮の下馬橋の袂までたどりつきます。
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