◆秋宮の近隣を一回り◆
秋宮の境内はいつもにぎわっています。特に最近は、日本の伝統・文化や歴史を知ろうとして、アジアや欧米からの観光客が増えてきています。この日は、中国や台湾、シンガポールなどからの団体客が目立ちました。
さて今回は、そんな境内を出て、千尋池から老舗の和菓子屋、新鶴本店の手前で坂を登り、鎌倉街道ロマンの道に沿ってひとまず城山まで行ってみましょう。
▲清冽な湧き水を湛える千尋池
ところで、千尋池は下諏訪町の地形的な特徴を物語る場所。周囲の山岳に発する清冽な水を渓流や湧き水、あるいは温泉という形で享受する、この街の自然の恵みを象徴してます。
下諏訪をはじめ、岡谷、上諏訪などの街に流れ出た大量の水は諏訪湖に集まり、その一部はさらに天竜川に注ぎ出ていって、最終的に太平洋に流れ出ます。⇒参考記事
▲千尋池と宝物殿との間の石畳の道
◆斜面に密集する家々◆
湖畔の街は、扇状地に尾根が張り出した起伏に富んだ斜面にあります。そこに家屋が密集しています。
古くから開けた街道の宿場町でもあり、温泉町でもある下諏訪は、農村的というよりも都市的な集落という趣を備えています。
さて、新鶴本店の手前で右折して「鎌倉街道ロマンの道」を登っていくと、秋宮拝殿・宝殿を取り囲む樹林を回り込んで住宅地に出ます。傾斜した土地に家屋が密集しています。
古い歴史を持つ神社の周囲の狭い土地に密集する家並と坂道、そして入りくんだ狭い小路が縦横に走る。そんな街の景観は、なにやら谷津に囲まれた鎌倉の街並みを連想させます。
その住宅街の背後に迫る山腹の高台に城山の城跡があります。そこをめざしましょう。
◆街を見おろす高台の砦跡◆
斜面の傾斜は20°以上はありそうです。ゆっくり登っていくと、道沿いの景色は畑や草地の田園風景に変わります。
▲尾根斜面から湖畔の街を見おろす
5分ほど歩き続けてようやく城山の砦の遺構までたどり着きました。
ここにあった城砦は「桜の城」と呼ばれ、下社の神官家だった大祝金刺氏によって鎌倉末期に築かれたとか。諏訪大社と街を一望できる高台に構えられた難攻不落の砦だったようです。
▲城砦の遺構 奥には展望台がある
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