◆水に恵まれた宿場◆
▲伏見屋邸から街道沿いに秋宮方面を望む
▲神社の石垣からの湧き水
さて、伏見屋邸から旧中山道沿いに秋宮方面に向かいましょう。ここでは、湯田坂までを特集します。
まず目に入ってくるのは、石造りの鳥居と柵で囲まれた御作田神社です。
この社は諏訪大社下社の末社で、水田の耕作と収穫をつかさどる神様です。農事の神として、この社で収穫された稲を下社に奉納する役割を担っています。
毎年6月30日、田植えの神事、御作田祭はこの神社の境内でおこなわれます。その昔、ここで田植えされた稲はわずか1か月で実り、8月1日に諏訪大神に奉納されたという伝説があるとか。それは御作田の早稲と呼ばれ、諏訪七不思議のひとつとされています。
◆湯田町の風情◆
春宮から秋宮を結ぶ旧中山道は、北から張り出した尾根の急斜面を回り込む形で南東に向かっています。
緩やかに下ってきた街道は、湯田町に入ると、秋宮に向かって少しずつ上っていきます。この上り坂が湯田坂で、その両側には鉄鉱泉宿や温泉浴場の「旦過の湯」、中山道茶屋「松屋」などがあります。
松屋は町立の今井邦子文学館となっています。邦子は、アララギ派の歌人で、文学館はその歌詠みとしての活動の資料を展示しています。
▲湯田町の辻から湯田坂を望む
湯田坂を見上げる。右手は今井邦子文学館
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