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▲土蔵の壁を囲む枠組みと茅葺造り
千国街道を南に進むと、飯森集落の南限は茅葺古民家「利根川蕎麦店」あたりで、その先は飯田北原となります。塩の道は国道148号に並行しながら、だんだん近づいていきます。そして国道と交差して超えることになります。
その交差地点の西側に飯田北原庚申塚石仏群があります。もともとここに石仏が並んでいたようですが、さらに耕地区画整理や道路整備のさいに集められてここに置かれたのだと思われます。
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▲かつては曲がりくねっていた塩の道
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▲五竜スキー場方面に向かう道
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▲田園のなかの古民家
塩の道沿いには民宿の看板が目立ちますが、スキーブームが去ってしまった今では、住民の高齢化もあって、じっさいに民宿経営を続けている住戸はかなり少なくなっているようです。
千国街道は国道を越えてから、懐旧の想いを呼び起こす農村風景のなかを往くことになります。旧街道はくねくね曲がっています。おりしも、ただ一棟だけ茅葺屋根が露出したままの古民家を見つけました。ただし、住人は隣の新居に暮らしていて、古民家自体は無住です。今では葺き替えや補修用の茅が入手困難なので、修復もままならず荒廃しかけています。
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▲古民家の傍らに山桜の古木
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▲街道脇の道祖神と説明板
茅葺古民家の前で朝の散歩中だというお婆さんに出会って昔のことをうかがいました。もう何十年も前に、古民家の傍らに立っている山桜の古木の種から出た幼木を数多く集落の道沿いに植えたそうです。
この集落には、飯田神明社の境内を含めて、春に美しい花を咲かせる山桜の並木があるのですが、この老婆はその多くを手がけたのかもしれません。
さて、南進する千国街道は東西に延びる村道に出会ってT字路になりました。街道案内標によると、東に向かうようです。しかし、その先の道筋がわかりません。私は大きなケヤキの辻でふたたび南に曲がりました。
すると、集落の外れでやや広い農道にぶつかり、そこで東に飯田神明宮の鎮守の杜を見つけることになりました。
と、ここで千国街道の道筋がすっかりわからなくなりました。おそらくは明治以降、とりわけ昭和期の水田開発と耕地整理で、旧街道はこの辺りで耕地の下に埋もれてしまったようです。
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▲大ケヤキの辻を振り返る
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▲村の辻に立つ石仏
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