火の見櫓から北に向かって栗田町通りを進むと、道の右側に松などの植栽と門柱があります。ここが徳乗寺です。
北島山徳乗寺もまた西光寺の塔頭から分寺自立した寺院です。この寺の開山もやはりまた、下総飯野城主、平正晴の家臣だった家門(北島家)によるものだそうです。
開山の祖となった北島徳左衛門恵敬は母の勧めで仏門に入り、僧名を恵春と名乗ったのだとか。
途中の経過はわかりませんが、恵春は長沼に来て西厳寺の保有地――現在地とは別の場所――で寺を開きました。その後、水害に遭遇したため、現在地に移り、西厳寺の塔頭に加わったと伝えられています。
恵春が僧としての修行ののちに長沼に来て一寺を開創できたのは、やはり武家だった時代の主従関係によるものでしょうか。
徳乗寺は、西厳寺での寺内塔頭となって旧街道脇にある境内の西端だったことが、分寺自立してから幸いしたようで、今では狭いながらも旧街道に面して門を構え、端正な庭園を擁しています。
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▲茅葺時代の形状を保つ屋根
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狭いが端正な庭園があって、その奥に本堂がある
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本堂の前から庭園を眺める
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